本研究の目的は, 知覚的バイアスである同化効果と対比効果がステレオタイプの形成に寄与していることを示すことであった。実験1では, 集団の成員情報の分布 (変動性小/変動性大) と集団サイズ (小/大) を操作した成員情報を提示した後に, 変動性の知覚を測定した。その結果, 変動性小条件において, 集団サイズ小条件と比較して集団サイズ大条件で変動性を小さく知覚していた。実験2では, 被験者に (1) 成員情報を再生する (実例記憶条件), (2) 集団の平均を回答する (平均推定条件), (3) いくつかの質問に回答する (統制条件) といういずれかの教示を与えた後に, 成員情報を提示した。その結果, 平均推定条件で, 実験1と同じ結果が得られた。以上の結果は, 成員情報が符号化されるにしたがって形成される中心傾向に, 新たに符号化される成員情報が同化したために生じた効果であると解釈された。