本稿は, オートポイエーシス理論とその数理的記述モデルを紹介し, オートポイエーシスの数理的記述が社会心理学においてもたらす含意を検討することを目的とした。最初に, オートポイエーシス理論を概観し, その特徴を明らかにした上で, 社会心理学の隣接分野での展開について記述した。次に, オートポイエーシス理論の難解さの原因について, 外部観察主義者の定義を含めてこの視点から検討し, 現時点での数理的記述モデルについて外部観察主義的視点から紹介を行ない, その問題点について検討した。最後に, 現在の社会心理学分野の状況におけるオートポイエーシスの数理的記述の持つ含意について検討した。