本研究では, いじめの被害者に対する外見的ステレオタイプについて検討した。調査対象者に, 彼らとはまったく面識のない, 中学校の卒業アルバムから得た2クラス分の生徒写真 (49枚) を刺激として提示し, いじめの被害者を判断させた場合, 彼らの判断がどの程度一致するかを検討した。その結果, 多くの写真において調査対象者間の判断が一致することはなかったが, 数枚の写真において判断は強く一致していた。ある写真では, 約70%の調査対象者による判断の一致が示された。また, 別調査の結果, 強い一致が見られた写真の外見的特徴として, 一般的な弱さが示された。そして, クラスに在籍していた級友に対して実際のいじめの被害者が誰であったかを調査した結果, 面識のない調査対象者が, いじめの被害者として想定した人物の多くは, 実際のいじめの被害者ではないが, 調査対象者の7割がいじめの被害者として想定する1名の人物は, 級友から実際にいじめの被害者であったとの報告を最も多く得ていた。