本研究の目的は社会的相互作用を考慮に入れたコーピングモデルを提唱し, その妥当性を検証することである。本研究によって提唱されたコーピングモデルでは, コーピングが直接的に精神的健康に影響を与える過程と, コーピングが対人関係を媒介として, 個人の精神的健康に影響を与える2つの過程を仮定している。本研究では後者の過程を検証するために2つの研究がなされた。研究1では129名の大学生を対象に, 対人ストレスコーピングが他者に快-不快感を抱かせることを実証した。研究2では299名の大学生を対象に, 対人ストレスコーピング→ソーシャルサポート→孤独感といった因果関係を検証した。2つの研究結果から, 他者に好感を抱かせるコーピングは他者からのソーシャルサポートを増加させ, 孤独感を低減させるが, 一方, 他者に不快感を抱かせるコーピングは他者からのソーシャルサポートを減少させ, 孤独感を増加させることが明らかになった。そして, 本研究で提唱されたモデルの妥当性が実証された。