小麦澱粉工場で発生する粗澱粉乳の発泡現象の原因と之を防止するための種々の要因について検討した結果次のようなことが判明した。 1) 粗澱粉乳の起泡性はジュースミキサーで一定時間攪拌した時の全容積を以て表示しても差支えなく又この方法の再現精度は極めて良好である。 2) 粗澱粉乳のpH, 放置時間, 粒状蛋白の混在による起泡度の変化は殆んどないが攪拌をくりかえすことによつて起泡性は増大する。 又稀薄な澱粉乳程泡立ちは激しい。 3) ドウより分離された粗澱粉乳に泡が集積し始めたら之に対する実際的な消泡対策は難かしい。 4). 小麦粉品質のうち起泡性に最も強く影響するものは酸度で起泡度と酸度との間には高度の相関がある。 5) ドウ調製時Ca(OH)2又はNaOHのようなアルカリで小麦粉酸度を0.2%以下に調製すれば粗澱粉乳の起泡性は殆んどなくなる。 6) 粗小麦澱粉乳の起泡性は澱粉乳中の蛋白含量よりも蛋白質の溶解形態によることを推定した。 終りに臨み終始御指導御鞭燵を賜った味の素川崎工場次長河村百合雄氏及び澱粉課長渋谷新四郎氏に厚く感謝の意を表する。