試料として地上澱粉(小麦,玉蜀黍,米)地下澱粉(馬鈴薯,甘藷)を用い,それらのアミノグラムが600B.U附近になる濃度にそれぞれ試料を採り,これらに少量の精製レシチンを対澱粉0.1%から10%の範囲で加えてアミログラムを画かせ,無添加対照区と,レシチン添加試験区との各種性値を比較検討した。その結果少量のレシチン添加率でも充分各特性値の改変を来すことが認められ,なかんずく小麦澱粉転移温度は急低下し,その程度は小麦澱粉>とうもろこし澱粉>米澱粉であつて低温糊化の加能性を見出した。 一方地下澱粉は,各特性値に対する影響力が少ないけれども,甘藷澱粉の上昇傾向に反し,馬鈴薯澱粉は低下傾向を示すことを認めた。 終りに本研究を行うに当り,御指導を賜つた前食品研究室長戸井丈一氏に深謝すると共に,実験に協力された飯島淑子氏にお礼を申上げる。