生育時期別甘藷澱粉について, 化学的, 物理的性質について測定を行なった。 (1) 粒度分布は生育時期のおそくなるにしたがって大粒子が増加し, 平均粒径も増加する。 (2) 灰分, リン, カルシウムおよび蛋白質は, 今回の試験では, 特に生育時期別による差は認められなかった。 (3) アミロース含量は, 沖繩100号は前回と同様初期に一旦減少した後は変動はなかったが, 農林1号はやや異なった挙動を示し, 生育初期の8月末頃まで減少した後, 再び増加し, その後安定した値を示した。 (4) アミログラムによる糊化点は, 前回ほどの差がなかったが, 初期と後期に約2.5℃の差が認められた。 最高粘度は生育時期がおそくなるにしたがって上昇する。 (5) X線回折図型は濃林1号で後期のものに第1環にやや強度が強くあらわれたが, 沖繩100号では特に大きな変化は認められなかった。 (6) 液化不良澱粉, (α-アミラーゼ不溶性フラクション) に生育時期別の差を認めた。 特に初期に多いが, その後急激に減少し, 9月中旬頃から安定する傾向を認めた。 本実験を行なうにあたり, 試料は関東東山農業試験場, 千葉試験地 小野田正利技官に御提供頂き, X線回折図型の測定には, 食糧研究所 柴田茂久技官, アミロース含量の測定には, 同堀内久弥技官に御援助頂いた。感謝の意を表する次第である。