デンプンの種類,濃度,加熱時間,放置時間やpHなどがゲル表面強度に与える影響をカードメーター(飯尾電気KK製)で測定した結果次のような知見が得られた。 (1)デンプン濃度とゲル強度には直線的な関係があるとともにpH5.0前後で最も強いゲルが得られた。 (2)デンプン粒の膨潤や分散状況がゲル強度に及ぼす影響は大きく糊化が進行してデンプン粒の崩壊が進むとゲル強度は低下する。そして各種デンプンのゲル強度の順位はトウモロコシ>コムギ>ジャガイモ>モチトウモロコシ>タピオカと概念づけられた。 (3) 溶出したデンプン分子のミセル再形成性,すなわち老化性がゲル強度に及ぼす影響も大きく放置あるいは適度の低粘度化処理によりゲル強度が向上する傾向がみられた。しかしながらデンプンゲル形成にはこの老化性とともに加熱糊化条件をも総合的にとらえて検討する必要がある。 (4)カードメーターで同一のゲルの表面強度を示しても表面が破壊された時の応力の変化はデンプンの種類によってかなり異なり,一般にゲル強度の大きなトウモロコシデンプンなどは脆性的な破壊を示し,ゲルを形成しにくいモチトウモロコシ,ハイドロオキシプロピル化トウモロコシデンプンなどは延性的な破壊を示すので,単にゲル表面強度のみで表現するには問題があると思われた。