本論は「生産者主権と消費者主権」「芸術インフラストラクチャーの形成」という2つの視点に立ち、各芸術支援機関の財政動向から、日英両国の芸術支援政策を考察した。その結果、英国は、生産者主権的な政策からの脱却の途上にあるが、消費者を軽視するきらいがある。一方、日本は、生産者重視の文化庁と地域間格差の是正を目指す地方自治体と役割分担が明確であるが、芸術支援基本法が制定されていない点は問題であろう。