本稿の目的は、文化社会学的観点から、現代日本文化政策を理論的に分析することである。日本の文化政策は、1980年代後半から、文化庁を中心にして本格化するまで、(1) 稀少な資源を分配する不十分な文化的支援制度、(2) 東京芸術大学を中心とする教育制度、(3) 文化勲章を頂点とする褒賞制度、の3点セットで運営されてきた。同時に、この戦略は、伝統文化とそれ以外の文化を棲み分けさせる機能を果たしてきたのである。