本論は、ピーコックの先行研究と音楽社会史や欧米の文化経済学研究から、情報伝達媒体の技術革新と楽曲あるいは実演上の独創性が相互にもたらす外部性と情報の利用許諾権と文化資産の公共性の確保との両立をはかる著作権制度について検討した。そして、音楽芸術産業が「作曲 (作詞) 市場」「実演市場」「録音・放送市場」という三層構造であること、それを規制する著作権制度がこうした市場構造に十分対応できていない点を示した。