本論では、公共文化施設の事例を対象として取り上げ、市民参加の組織構造と意志決定プロセスについて検討することを目的とする。結論としては、(1) 公共施設計画における対話的空間・公共圏の形成は物理的な空間の創造と同時に取り扱う必要がある。(2) 市民は自由に要望・意見を提出しても、それを統合する力が低いことにより、意思決定への参加に障害となる。(3) 曖昧性下の意思決定への市民参加を促すために、十分な説明、明確化した組織権力と責任関係が不可欠である。