本論は、日本の文化財政策における公共選択アプローチの重要な役割に言及する。特に文化財保護法における対象範囲の拡大問題を中心に扱う。はじめに、文化遺産に関連するいくつかの経済活動を包括的な循環系として考えた上で、文化財政策の2つのアプローチを紹介する。日本の文化財政策においては、社会評価アプローチは大変重要である。しかし、公共選択アプローチが文化財の新たな法律上の類型を拡張したことを忘れてはならない。