柑橘濃縮果汁製造工場の正常運転の場合の各工程中に於けるビタミンCの変化を測定し又濃縮果汁を実験室規模で各温度に貯蔵しビタミンCの消長を比較した。 1. 原料みかん搾汁から濾過終了までは約5%の損失が認められた。 2. 92~95℃で瞬間殺菌し50℃に急冷した場合の損失は15~25%であつた。 3. 約45℃で減圧濃縮を行い得られる濃縮果汁は濃縮中に約10%の損失があつた。 4. 此の規模の工場では原料から製品に成るまでに約25~30%の損失が考えられる。 5. 製品の貯蔵は室温より0℃の方が損失が少いが,0℃と-10℃,-20℃との間には大差が見られなかつた。 6. 製品に亜硫酸を添加し貯蔵することは損失を防止する一方法と考えられる。無添加のものより約10%程度損失が少い。 7. 原料柑橘の成育時期が異るとビタミンCの含量及び其の安定度が異る。 本報告を終るに当り工場現場実験の便宜を供与下された三和食品株式会社及び貴重な試料を供与下された太陽化学工業株式会社に謝意を表します。