(1) 早生温州生果々肉は湯通しより水晒までの罐詰製造工程で,当初含有せるRVC 35.4mg%の約19%を失つた。 (2) 肉詰以後の製造工程及び貯蔵1/2月の間に,果肉中のRVCの損失は皆無であつたが,強化分は平均6mg/罐(肉詰時のRVC含有量に対し1~4%)のR VCを失つた。 (3) 蜜柑罐詰を1/2月乃至約1/2年貯蔵中のRVC損失量はそれが5号白罐に詰められた全糖製品である限り,VC含有量に関せず一定で,10.3±2.8mg/罐(但しp=0.05)なることを推定した。 (4) VC強化蜜柑罐詰の製造中並びに貯蔵中に於けるVCの損失はVC添加方法,真空度,pH(酸度)等には無関係であつた。 (5) 蜜柑罐詰の製造中並びに貯蔵中に於けるRVC /TVCの比は常時90%附近乃至それ以上で,VCの強化は此の比を大ならしめた。 (6) 原料蜜柑のVC含有率は工場に入荷するロット毎に明らかに異なつたが,size間には差違を認めなかつた。従つて強化罐詰のVC含有率を一定水準に保つ為には入荷ロット毎にVC平均含有率を測定する必要がある。又或種の罹病果のVC含有量が健全果に比して著しく少いことを認めた。 終りに本実験を援助せられた藍所長,戸井田小田原工場長,山下博太郎氏並びに小島節子氏に深く感謝致します。