食品からのListeria検査において, 培養法によりListeriaの存在の有無をスクリーニングする目的から, FraserブイヨンとHCLA培地の評価を行った. 1. Fraserブイヨンの24時間培養での培地色変化の必要菌量は, 101~105 (CFU/ml) で, 菌株によって差が見られたが, 菌の損傷による差は認められなかった. 2. Listeriaを接種した牛乳およびチーズを用いたFraserブイヨンの二段階増菌は, EB 48時間培養と比べてほぼ同様の増菌効果を示した. 3. 食肉等を対象としたFraserブイヨンの24時間培養での誤陽性率は16.0% (20/125), 誤陰性率は1.6% (2/125) であった.誤陰性検体は48時間後には陽性となった. 4. HCLAはOxfordと比べてListeria発育菌量に差はなかった. 5. L. monocytogenesとL.innocuaの混合菌液を塗抹したHCLAとOxfordからのL.monocytogenes釣菌率は, HCLAが100% (50/50), Oxfordが62% (31/50) であった. 6. 食肉等を対象としたHCLAの使用に, 誤陽性, 誤陰性はなく, L.monocytogenesを24時間で分離できた. 以上の成績から, FraserブイヨンとHCLAは食品中のListeria検査に有用であることが確認された.