市販食品における消費期限の導入に伴ない, 一般に品質保持が困難であろうと考えられる生和菓子について, ねりきりをモデルとして保存期間中の品質変化を微生物学的および理化学的に検討した.試料中の初期菌数は一般細菌が最も高く, 次いで酵母, 大腸菌群, 糸状菌の順序であった.一般細菌, 糸状菌, 酵母は保存中, 温度 (10~30℃) の高いほど増殖は速かったが, 大腸菌群では対照的に30℃において菌数が減少がみられた.20および30℃では保存中, 糸状菌の集落が試料表面に認められた.pHは保存日数の経過と共に低下傾向がみられたが, 水分活性には変化が認められなかった.また, 製造所による微生物の増殖挙動の差はみられなかった.製造時の季節による増殖挙動の差はほとんどなかったが, ごく一部に認あられた.