食肉製品の変敗・酸敗原因菌として分離された乳酸菌3株 ( L. viridescens PSC-Y510101, L. mesenteroides PSC-Y539901, E. faecalis PSC-Y520101) に対する亜硝酸ナトリウムおよび乳酸ナトリウムの影響について, ソーセージの系で調査した.その成績は以下のとおりであった. 1. 食肉製品中での乳酸菌の増殖速度は, 亜硝酸ナトリウムおよび乳酸ナトリウムを含まない系では L. mesenteroides が最も速く, 10℃ で9日目に生菌数は9.1×105cfu/gとなった.また, L. viridescens と E. faecalis は, 保存9日目の生菌数はそれぞれ1.7×105 cfu/g, 7.4×104 cfu/gであった. 2. 亜硝酸ナトリウムを200ppm添加すると, いずれの乳酸菌も増殖は遅れ, 1.0×105 cfu/gオーダーに達するまでの期間は, 添加しないものに比べて L. viridescens では9日, L. mesenteroides では4日, E. faecalis では15日延長した. 3. 乳酸ナトリウムの添加量の増加に伴い, いずれの乳酸菌の増殖も遅くなり, L. viridescensとL. mesenteroidesの生菌数が1.0×105 cfu/gオーダーに達するまでの期間は添加しないものに比べて, 1%の添加で2~3日, 2%では8~9日延長された.一方, E. faecalis は1%の添加でも30日目になっても1.2×104 cfu/gであり, 2%の添加では30日間生菌数の増加は認められなかった. 4. 亜硝酸ナトリウムと乳酸ナトリウムを併用した場合には2%乳酸ナトリウム添加で L. viridescens および L. mesenteroides の生菌数の増加が顕著に遅れた. E. faecalis は, 乳酸ナトリウムの1%添加で30日間保存しても生菌数は1.8×102 cfu/gであった. 5.供試したソーセージの残存亜硝酸根は42.3~46.2ppmであった.また, 乳酸ナトリウム含量は1%添加区で0.95~0.96%, 2%添加区で1.94~1.97%であり, pHは5.69~5.72であった.