1996年6月, 広島県T小学校で腸管出血性大腸菌O157:H7による185名の集団食中毒が発生した. 主要症状は腹痛 (77.7%), 下痢 (48.6%), 頭痛 (7.4%) で発熱, 血性下痢はまれであった. 細菌学的検査結果では47名の患者からO157:H7が分離され, その菌量は10-108/gであった. また, RPLA法による菌分離者糞便からのVTは, 69% (46/66) から検出され, その毒素量は0-128ng/g (平均6.9ng/g) であった. 患者血清中のO157抗体価は, 4-7病日で64-2,048倍 (平均171.7) 抗体価が認められた. 分離株はVT1, VT2産生株で eaeA 因子が確認された. プラスミドプロファイルは, 94kb, 80kb, 3.5kbの3個を保有し, RAPD法, PFGE法による遺伝子解析結果でも本事例株は一致した.