温度65℃, 相対湿度41%, 反応時間36h, マルトース/鶏筋原線維タンパク質 (Mfs) 重量比5w/wにて調製した抗酸化能を有するマルトース修飾鶏Mfsは, 90℃の加熱によりゲルを形成し, 240分まで加熱時間に依存してより締まったゲルを形成した. また, このゲルは同じ加熱時間で得られた鶏Mfsおよび非修飾鶏Mfsのゲルよりもリジッドであった. マルトース修飾鶏Mfsゲルの加熱中の変化をドデシル硫酸ナトリウム電気泳動法により追跡したところ, 加熱初期はジスルフィド結合による架橋が生じ, 加熱後期では交差結合による重合体を形成していることがわかった. さらに, マルトース修飾鶏Mfsの方が鶏Mfsや非修飾鶏Mfsよりもゲル化の進行が速かった. そして, 90℃, 120分の加熱で調製したマルトース修飾鶏Mfsゲルをクライオ走査電子顕微鏡により観察したところ, 鶏Mfsおよび非修飾鶏Mfsに比べて構造体の繊維が太く大きく, 発達した網目構造をとっていた. そのため, よりリジッドなゲルを形成したと考えられた. このゲルは, 抗酸化能を保持している可能性も示唆され, より魅力的な機能性食品素材となりうることが指摘された.