本研究の目的は, 外的評価の予告の有無に応じて, 子どもがプランニングをどのように調整するのかについて, その発達的特質と機序を検討することであった。参加児は6歳児58名と9歳児58名であり, それぞれ評価予告条件と評価なし条件へ29名ずつ振り分けられた。課題は型紙シールの貼付と描画によって, 絵を制作する見立て描画であった。評価予告条件は, 予め課題遂行前に, 偉い絵の先生に作品を評価して貰うと告げ, シールをきれいに使うという評価基準を伝えた。そして, 制作終了後に作品の評価予想とその理由について質問した。評価なし条件では, 他者が作品を見ることがないので自由に制作するように伝えた。参加児の課題遂行は, プランニングの慎重さと評価予想における評価基準への適合性, 及びプランニングの慎重さによる問題解決への影響の3点について分析された。その結果, 9歳児は外的評価の予告によって, プランニングを慎重に行うようになり, 6歳児はそのような調整は見られなかった。この機序として, 内的基準を自己抑制し, 外的評価の予告に含まれる外的基準を問題空間に表象することと, それに制約された目標状態の構想が示唆された。