本研究の目的は, 小学生を対象とした対人的感謝尺度を開発し, その信頼性と妥当性を検討することであった。小学4年生から6年生までの1,068名を対象とし, 対人的感謝, ポジティブ感情, ネガティブ感情, 共感性, 自己価値, 友人関係認知, 攻撃性を含む質問紙調査を実施した。主成分分析と確認的因子分析の結果, 1因子8項目から成る対人的感謝尺度が構成された。対人的感謝尺度は高いα係数を示し, 十分な内的一貫性が認められた。また, 対人的感謝尺度は当初の想定通り, ポジティブ感情や共感性, 友人関係の良好さと正の関連を, 攻撃性と負の関連を有していた。以上より, 対人的感謝尺度の併存的妥当性が確認された。さらに, 尺度得点については, 男女差が認められ, 女子の得点が男子の得点よりも有意に高かった。最後に, 本尺度の利用可能性について考察されるとともに, 今後の感謝研究に関して議論された。