知覚された情緒的サポートには, 個人のストレスを低減したり健康を維持したりするだけでなく, 個人の目標追求をうながす効果もある。本論文では, 知覚された目標サポート尺度(Molden, Lucas, Finkel, Kumashiro, & Rusbult, 2009)の日本語版を作成し, その構成概念妥当性を検討した。大学生の異性友人関係( n =173)と同性友人関係( n =211)を対象とした質問紙調査を行った。多母集団確認的因子分析を行った結果, 予測通り, 日本語版知覚された目標サポート尺度は, 促進焦点目標サポートと予防焦点目標サポートの2因子からなることが明らかとなった。これら2つの下位尺度の内的整合性は, 十分に高いことが確認された。下位尺度得点についてはいずれも, 異性友人関係よりも同性友人関係において高く, 男性よりも女性において高かった。情緒的サポートや道具的サポート, 相互作用多様性, 親密性, 対人ストレッサー, 主観的幸福感といった同時に測定した外的基準との関連が, おおむね確かめられた。また, 2つの下位尺度の2週間を通じた安定性や, 2週間後に測定した親密性や主観的幸福感の尺度との関連についても確認することができた。知覚された目標サポートをめぐる心理学的研究や実践的応用について議論した。