カラマツとクリーンラーチ(グイマツ×カラマツ雑種F1)の充実種子とシイナ種子を分けるため,エタノールで比重選を行うとともに,エタノール処理が発芽に及ぼす影響について調べた。濃度99.5%のエタノールによって充実種子とシイナ種子を明確に選別できた。濃度99.5%のエタノールでは充実種子の94.0~97.3%が沈み,沈んだ種子の93.1~98.7%が充実種子であった。エタノール浸漬による発芽への影響はカラマツとクリーンラーチで異なった。真正発芽率は,カラマツではエタノール選で36.4~50.9%,無処理で66.7~81.0%であったのに対して,クリーンラーチではエタノール選で94.2%,無処理で88.3%であった。これらのことから,エタノール選によりカラマツとクリーンラーチでは充実種子とシイナ種子を高い精度で選別できること,しかしながら,カラマツではエタノール選により発芽率が低下する可能性があることを明らかにした。