森林の教育への利用が盛んであり,森林教育研究も活発である。ところが,わが国の森林学における森林教育研究を包括的にとらえた体系的レビューがこれまでにないことから,大石・井上 (2014) において,日本森林学会と同学会の連携学会および関連学会等がこれまでに刊行した学会誌等を悉皆調査し,教育に関わる文献448件を抽出し,専門教育および教育活動の場としての森林や展示施設に関する研究を対象に整理した。本論では,前報で残されていた教育の概念,学校教育,社会教育,対象者,教材・プログラム,指導者などについて整理した。その結果,1) 多様な教育の概念が提起されてきている,2) 学校教育の幅広い学校段階を対象に検討されてきている,3) 社会教育の多様な実施主体を対象に検討されてきている,4) 対象者が持っている素地や活動による影響が幅広く検討されてきている, など森林教育研究が多様化してきた経緯が明らかになった。さらに,森林教育研究全般で使われてきた森林に関わる教育を表す用語を整理し,森林教育研究がこれまでにたどってきた道筋を明らかにした。