作業道における表面流発生の実態を明らかにするため,秋田県長坂試験地に開設された作業道を対象として,植生調査と表面流の発生状況の現地踏査を行った。作業道の切土のり面と山側わだちにおいて,植生の被度が低く出現種数が少なかった。これらの結果は,切土のり面では凍上融解や融雪および雨滴による侵食が要因で,山側わだちでは継続的な表面流の発生が要因と考えられた。表面流の発生源として,切土のり面から流出する遮断された地中流や河道から流入する渓流水が確認された。また,その地中流の流出によって,断片化している作業道の表面流が連続することが示唆され,降雨終了後も流域内では作業道の総延長の 21.2% で表面流が発生していた。また,積雪期に表面流が発生する場所は,無積雪期に表面流が発生する場所と一致していた。以上から,作業道の開設時は,流域内の地中水の流出箇所や河道分布状況などを考慮することが重要であると考えられた。