東京電力福島第一原子力発電所事故に起因する, 森林から渓流生態系への落葉を介した放射性セシウムの移動を明らかにするために, 福島県伊達郡川俣町の小渓流において, 渓畔域に分布するコナラの生葉, 林床の枯死・脱落葉 (落葉) および渓流 に堆積している落葉に含まれるセシウム 137 (137Cs) 濃度の関係を明らかにした。コナラの葉は, 生葉から落葉となり, 渓流に 堆積して分解される過程で, 137Cs 濃度が減少していた (2013年)。2012 年と 2013 年の落葉期 (11月) に, 林床に落下したコナラ葉と, 各翌年の3月に, 渓流に堆積しているコナラ落葉の137Cs 濃度を比較すると, 渓流のコナラ落葉の方が低くなった。 また, 林床に落下したコナラ落葉, 渓流に堆積しているコナラ落葉および渓流に堆積しているその他の落葉は, それぞれの各年における137Cs 濃度に大きな変化はなく, 今後も長期間, 渓畔林から渓流生態系へ落葉を介して137Csが移動する可能性が示唆された。