中国では国民生活水準の向上とともに, 農家楽 (農家民宿や農家レストラン) を代表としたグリーン・ツーリズムが人気となっている。本研究では中国における農家楽の実態および問題点を明らかにするため, 浙江省杭州市桐廬県の農家楽経営者並びに政策担当者を対象にヒアリング調査を行った。調査の結果, 現在中国の農家楽は政府主導や個人経営からさらに発展し, 集落や地区の協力で成功している事例が増加していた。しかし都市部を離れ, 周辺観光地がない, 集客の難しい農山村地域では, 農家楽の発展が難しいことも明らかとなった。これは, 農家楽を都市農山村格差等のいわゆる「三農問題」の解決手段と する際に, 大きな課題となっていることが明らかとなった。