JSTは前身のJRDC創設以来,50年以上にわたり基礎研究や産業化を通じてイノベーション創出を目指す戦略的研究ファンディング(資金提供)を実施してきた。その結果,数々のノーベル賞受賞者を輩出し,我が国の科学技術の発展に貢献してきた。すでに日本は超高齢社会と人口減少の時代に突入し,科学技術関係予算は大きく伸びる可能性は少なく,限られた科学技術関係予算でグローバル競争を勝ち抜かなくてはならない。JST-FMDBは,将来にわたって必要性の高まるイノベーション戦略策定等を情報面から支援する情報分析基盤を提供するものであり,JSTが研究開発資金を提供した2万件以上のファンディング情報の蓄積と日本最大の研究資金助成事業である科研費の情報を横断的に検索・分析できる仕組みとなっている。本稿では,JST-FMDBの構築プロセスと将来に向けたファンディングにおける情報の役割について述べる。