有用な情報をいかにして手に入れるかという問題は古くて新しい問題である。異分野交流の典型であるバイオミメティクスではそれが顕著に表れる。バイオミメティクスでは,生物が実現しているさまざまな機能を模倣することによって,これまでにない有用な機能を革新的な方法で実現することを目指している。しかし,生物学に不案内な工学者が生物に関する有用な情報を入手することは容易ではない。本稿では,そのような工学者を支援するための新しいシソーラスであるOntology-Enhanced Thesaurus(OET)に関する概要を解説する。OETは,オントロジーという一般的で抽象度の高い概念群を従来のシソーラスの上位に位置付けることによって,異分野間に存在するギャップを埋めることを目指している。オントロジーやシソーラスの解説も含めて,OETの構成やキーワード探索自体を支援するツールに関してわかりやすく説明する。