Lactococcus lactis subsp. lactis C101910(C101910)および Lactococcus lactis subsp. lactis NBRC 12007(NBRC 12007)が生産するバクテリオシンを用いて、清酒製造プロセスの中の水麹工程において、火落菌である Lactobacillus hilgardii の増殖を阻害することを検討した。C101910およびNBRC 12007が生産するバクテリオシンは、pHと温度に依存して、プロテアーゼ活性を有する麹抽出液中でゆっくりと失活した。しかし、C101910およびNBRC 12007が生産するバクテリオシンの活性は、pH 3、10℃の条件で12時間処理した後でも、それぞれ初期の活性の約50%と約70%が残存していた。既に報告した方法に従って調製したC101910およびNBRC 12007由来のバクテリオシン溶液を、麹抽出液(pH 3、10℃)にそれぞれ5%(v/v)および1%(v/v)の割合で添加することによって、 L. hilgardii の生細胞数は12時間以内に、初期に添加した濃度(2.5-3.2×105 cells/ml)に比べて検出限界(1.0×102 cells/ml)以下まで減少した。米麹と乳酸溶液を含む水麹(pH 3、10℃)中では、C101910およびNBRC 12007由来のバクテリオシンの L. hilgardii に対する増殖阻害活性は、麹抽出液中に比べて低下した。しかし、バクテリオシン溶液の添加割合を10%にすることによって、 L. hilgardii の生細胞数は、初期に添加した値(1.0×105 cells/ml)に比べて2オーダ以上減少した。