本研究では,洗米排水成分添加による精製米デンプン粒子への凝集・沈降性付加について検討を行った.その結果,洗米排水への酵素添加は,サンプル中のリン酸イオン濃度を特異的に増加させ,その後,精製米デンプン添加により,リン酸濃度の速やかな減少が確認された.さらに,解離型リン酸が存在するpH領域内(pH 3~6)において,特異的に精製米デンプンの凝集・沈降性付加効果を確認するとともに,FT-IR解析の結果,P-O吸収帯の透過率の減少が確認された.以上の検討結果より,酵素処理により洗米排水中固形成分から溶出(放出)したリン酸イオンは,精製米デンプンと結合後,リン酸基由来の負電荷をデンプン表層に形成.さらに,多価陽イオンによる静電的な架橋形成により,精製デンプンのマクロ分子を形成,至っては凝集・沈降性付加ならびに促進が可能となったと推察された.