静的ヘッドスペースGC法(SHS-GC法)は食品や飲料の香気成分分析に多用され,多くの長所をもつ手法であるが,中高沸点物質に対する感度が低いことが弱点である.本研究は,塩析によるSHS-GC法および静的ヘッドスペース固相マイクロ抽出GC法(SPME-GC法)の測定感度の向上における基礎的データの採取を目的とした.ラ・フランス果汁およびアルコール-エステル混合水溶液に飽和量の塩化ナトリウムを添加してSHS-GC法およびSPME-GC法で分析し,香気成分の検出感度の変化を計測した. ラ・フランス果汁,アルコールーエステル混合水溶液とも,塩化ナトリウムを添加することにより,ほぼ全ての香気成分の検出感度が向上した.塩化ナトリウムの添加による検出感度の向上は,アルコールでは分子量が大きいものでより大きく,エステルでは逆に分子量が小さいものでより大きくなる傾向がみられた.