食品デザインの場に生体情報に基づく食品評価技術を導入することにより,付加価値の高い食品開発が可能になるはずである.我々は消化器官の中でもとくに小腸に注目し,小腸の消化活動の活性度が個人の体質や健康状態と摂取した食品との相性によって変化すると考え,小腸の蠕動運動活性度を指標とした個人の体質・体調に適した食品のデザインに利用できる基礎技術を提案する.国内医療機関では超音波診断装置が広く普及し,消化管の状態や運動を観察する技術が確立されているが,その技術体系は主に臓器の異常を発見するためのものであり,正常に働く臓器を詳細に観察するために構築された技術ではない.しかし我々の目的は,健常者から重症患者までの様々な状態にある人間を対象とした,消化活動モニタリング技術の開発である.そこで,超音波動画像処理によって小腸が消化物を移動させていく蠕動運動の様子を1つの物差しで定量的に表現する方法を考案した.