製造工程中に起きるデンプンの部分糊化が,レトルトカレーの最終粘度に及ぼす影響を調べた.レトルトカレーの粘度は,煮込みとそれに続くレトルト殺菌工程で,原料中のデンプンが糊化することで上昇する.しかし,煮込み工程前の原料混合工程の温度が高過ぎると,最終粘度が十分に上昇しないことが経験的にわかっている.そこで,原料混合工程の温度とデンプンの糊化状態をアミロース溶出度,膨潤度,動的粘弾性および示差走査熱量分析から調べ,最終粘度との関係を考察した.その結果,原料混合工程の温度が65℃以上であると,デンプンの部分糊化が起こるため,その後の煮込み工程と殺菌工程での粘度上昇は抑制されることがわかった.