近年,大学の各種活動を評価あるいは公表することへの要請が強まっている. また,種々の教育 改革に着手する大学も増えており,その必要性や成果を確認するうえでも,大学の教育活動を評 価・診断する方法について検討することが求められている. 本論文では,大学ポートレート(仮称)準 備委員会が公表している平成24年度の国公立大学基本情報等を利用し,大学の教育活動の指標と なり得る変数の探索を行った. その結果,学生一人当たりの教員数や貸し出し冊数などが就職率に 正の影響を及ぼすことが示された一方で,大学教育の質を表すと考えられてきた変数の中に負の影 響を及ぼすものも確認された. 大学の教育活動を正確にとらえるためには,データの信頼性を確保 することが重要であろうことが示唆された.