本論文では,災害環境のような時間経過により変化する動的環境において,各エージェントが各自の局所的視野による情報と近隣のエージェントとの通信による情報のみにより協調するためのアルゴリズムとして,Artificial Bee Colonyアルゴリズムに動的環境のための改良を施したMultiagent-based Artificial Bee Colony (M-ABC)アルゴリズムを提案する.また,災害環境におけるレスキューエージェント間協調アルゴリズムにM-ABCアルゴリズムを展開し,その有効性をシミュレーション実験により検証する.検証にはロボカップレスキューシミュレーションシステムによりレスキューエージェントの被害者の探索と救助をシミュレーションし,次の知見を得た:(1)M-ABCアルゴリズムは,基本的な従来手法であるfull search methodよりも迅速に被害者を救出が可能であること.具体的には,提案したM-ABCアルゴリズムの1つであるM-ABC distanceが高い救助性能を発揮すること; (2)M-ABC distanceが被害者が移動する動的環境においても高い救助性能を維持すること;(3)M-ABC distanceはロボカップレスキューシミュレーションリーグの2012年度の優勝手法であるRi-one手法では被害者を完全に救助することができなかった動的環境において,全ての被害者を救助可能であることを示した.