本研究の目的は,OSSにおけるパッチのレビュー経験および開発経験がレビューに要する時間に与える影響を分析することである.影響の分析にはChromiumプロジェクトのバージョン管理およびレビュー管理システムから得られるデータを用いた.分析の結果,レビュー経験(回数),パッチ開発経験(投稿回数)のどちらもレビューにかかる時間と強い負の相関がある事が分かった.またバグ管理システムから得られるデータを追加し,前述のデータを組合わせて分析を行った結果,レビュー時間の短縮はパッチに含まれるバグの見逃されやすさに対して有意な影響を及ぼさない事が分かった.