モデル駆動工学では,メタモデルはモデルに対する型システムのようなものを提供し,モデルによるシステムの表現を正確に,定型的かつ強力に支援する.メタモデルは更にメタメタモデルで型付けられ,メタモデルで型付けられるモデルとあわせた三階層構造をなすことは前稿で概説した.本稿では,この構造の形式的な定義を与えるだけでなく,これらがすべて抽象モデルとして統一的に扱えることを示す. メタモデルは上記の重要な役割を果たすものの,モデルについて推論したり,より汎用的に処理を適用するには十分ではない.そこでもう1つ必要な概念がモデル変換である.モデル駆動工学では,モデル自体を直接更新するよりは,変換によって次々と新しいモデルを生成していく方法が推奨される.この構成的アプローチは,異なるツールの間の相互運用性を高める等の利点をもたらす.更に,モデル駆動工学では変換自体もモデルで表現され,上記の統一的扱いに組み込まれる.本稿では,モデル駆動工学の真骨頂とも言えるこのような統一的扱いと,このような構成的アプローチによるいくつかのモデル管理手法についても解説する.