牛挽肉の直火焼き(素焼きおよび照り焼き,焼き時間はともに12分間および24分間)における有効性リジン量の変化を知る目的で,小形のミンチボール状のものを試料とした.これら試料について,主に加熱,しょう油-みりんの混合液によるアミノカルボニル反応(褐変)の影響を検討した. (1)水分量は,素焼きおよび照り焼きともに有意に減少したが,その減少率は素焼きの方で高かった. (2)照り焼きに関し,窒素量の変化は認められなかった. (3)色調L*は,素焼きおよび照り焼きともに加熱により低下し,色差 Δ E*は照り焼きの方でより顕著であった. (4)有効性リジンの減少率は,素焼きにおける12分間および24分間加熱した試料に比較し,照り焼きで加熱した試料ではそれぞれ2倍の高値であった. 水分量および色調L*は有効性リジン量の減少率に高い正の相関を示した.直火焼きにおける水分減少(加熱)に伴いアミノカルボニル反応が進み,L*は低下し,有効性リジン量は減少するものと考えられた. (5)酸化度 TBA値は,照り焼きよりも素焼きの方で高かった.また,COVは,素焼きにおいて焼き時間に伴って有意に減少した.