ナス下漬液からナスニン含有粉末を調製する研究を行ってきた.しかし,得られたナスニン含有粉末は,水への溶解性が低く,強い酢酸臭が残るものであった.この問題を解決するため, β -CDおよび γ -CDを用いた検討を行った. その結果,ナスニンとクロロゲン酸のモル数(合計値)との比率が1 : 1となるよう γ -CDを添加して,10分間以上撹拌することが最適条件であることが示された.この条件で作製した包接体の水溶性は,包接前の32%から81%に上昇した.また,酢酸臭は包接することにより,81%低減することが示された.さらに包接体の機能性の評価を行ったところ,ORAC値は1g当たり5159μmolのTrolox当量であり,デルフィニジン標準品の56.2%に相当する強い抗酸化性を保持していた.また,抗アレルギー性を,ヒアルロニダーゼ阻害率として評価したところ,抗アレルギー製剤として使用されている柴朴湯とほぼ同等の阻害率を示した.