本研究では,社交不安の認知モデル(Clark & Wells, 1995)に基づき,ひきこもり親和性と社交不安症状と対人的自己効力感の関連について検討を行った。大学生246名(男性101名,女性145名)を対象として,ひきこもり親和性を測定する尺度,Liebowitz Social Anxiety Scaleの日本語版,対人的自己効力感尺度を用いた質問紙調査を実施した。共分散構造分析の結果から,社会場面における恐怖感/不安感が,ひきこもり親和性に対して直接的な正の影響を与えていることが示された。その一方で,社会場面における回避が,ひきこもり親和性に対して直接的な影響を与えていることは示されなかった。また,対人的自己効力感は,社会場面における恐怖感/不安感を介して,ひきこもり親和性に対して間接的な負の影響を与えていることが示された。以上の結果から,ひきこもり親和性の高い人々に対する予防的な介入として,対人的自己効力感を高めるような働きかけが有効である可能性が示唆された。