本研究の目的は,児童期の子どもが仲間に抱く信頼信念と学校での孤独感との関連について,教師や親への信頼信念との比較から検討することであった。また,子どもが仲間に抱く信頼信念と教師や親に抱く信頼信念との交互作用による孤独感への効果についても検討を行った。小学校3∼4年生176名を対象に,子ども用信頼信念尺度と学校での孤独感尺度から成る質問紙調査を実施した。信頼信念尺度は,確証型因子分析により,子どもが4対象(母親・父親・教師・仲間)に抱く信頼信念を3つの要素(信頼性・情緒性・正直さ)から同質に評価する構造であることが示された。階層重回帰分析の結果,子どもが仲間と教師それぞれに抱く信頼信念の交互作用項が学校での孤独感を有意に予測していた。仲間への信頼信念が低い場合に,教師への信頼信念が高い子どもが低い子どもに比べて孤独感が高いことが示され,両者への信頼のバランスと子どもの個人差の観点から論じた。