本研究では,大学生におけるタイプA行動様式(タイプA)および首尾一貫感覚(SOC)が抑うつ傾向に与える効果を検討した。タイプA, SOC, および抑うつ傾向の測定には,KG式日常生活質問票(山崎・田中・宮田,1992),13項目版SOCスケール(山崎,1999),自己評価式抑うつ尺度(福田・小林,1973)をそれぞれ用いた。245人の大学生の調査データをもとに二要因分散分析を行った結果,タイプAの下位尺度である攻撃・敵意性が高い者は抑うつ傾向が高く,SOCが高い者は抑うつ傾向が低いことが示された。加えて,SOCが高い場合,タイプAの下位尺度である行動の強さ・速さが高い者ほど,抑うつ傾向が低いことも示された。これらの結果より,抑うつ傾向にはタイプAにおける攻撃・敵意性と行動の速さ・強さ,それにSOCが関連を持つことが示唆された。