プリンテッドエレクトロニクスに適合する電極材料として,低温焼成銀ナノ微粒子及びその分散インク/ペーストが実用化に最も可能性のある材料として注目されている.フレキシブルエレクトロニクス素子に用いられるPETなどのフレキシブル・透明樹脂基板は熱耐性が弱く,こうした幅広い汎用性樹脂基板に銀ナノ微粒子を適合させるには,その焼成温度の低温化がキーテクノロジーになる.本研究では,銀ナノ微粒子の自発融着能を発揮させる表面構造に着目,アルキルアミンを保護分子として選択することで,室温~100°Cの焼成温度の実現に成功した.この自発融着能により,クラックやボイドの発生を抑制した導電性・光反射率・フレキシブル性に優れる塗布型電極の作製が容易になった.シュウ酸銀熱分解法の発明により,高性能・高純度銀ナノ微粒子を溶媒レス・低環境負荷・安価・大量合成(~100%収率)することができた.国内企業20社が集結した「ナノメタルスクール」により,この銀ナノ微粒子技術に基づく,プリンテッドエレクトロニクス産業応用が加速している.