目的: 「定期巡回・随時対応型訪問介護看護」が新たに創設された.この制度によって家族の負担は減少するが,このサービスを提供する介護職者の負担は増加する.そこで本研究の目的は,このサービスを提供する施設の介護職者の疲労徴候を明らかにするとともに,職場における関連要因を検討することである. 方法: 無記名の自記式調査用紙を用いて,施設の介護職者96名を対象に調査を行った.質問内容は,蓄積的疲労徴候インデックス,勤務状況,職場における支援,属性であった.解析では対象者を午後6時から午前8時に勤務がある有夜勤者と日勤しかない常日勤者の2群に分け,疲労徴候と勤務状況等との関連を2群間で比較検討した. 結果: 有夜勤者は47名で,平均年齢42.3歳,平均経験年数は6.0年,前月の訪問介護人数9人(中央値)であった.常日勤者は49名で,平均年齢44.6歳,平均経験年数は5.9年,前月の訪問介護人数9.5人であった.年齢と性別は両者間に有意差を認めなかった.勤務時間とケア内容を除いて,仕事の状況,職場の支援に有意差を認めなかった.両者とも疲労徴候は高く,有夜勤者の身体不調は常日勤者より強かった.仕事の満足,心の健康への教育研修,訪問時の交通安全配慮は両者とも疲労を軽減する要因であった.ここ1年以内に介護の知識・技術を学習した経験,有給休暇のとりやすさは,有夜勤者で疲労徴候と関係していなかった.この点は常日勤者と異なっていた. 結論: 両者とも疲労徴候に対して対策が必要であるが,有夜勤者に対する対策は常日勤者への対策に加え,さらに有効な対策を探り,実施していく必要がある.