目的: 従業員食堂を中心とした長期間の食環境介入が野菜類の摂取量に及ぼす効果を検討する. 対象と方法: 対象は福井県現業系事業所の従業員約1,200人(19–61歳)である.野菜摂取量を増加させるため,日本型の3要素(主食・主菜・副菜(野菜))を組み合わせた食事の摂取を推進した.適切な食物選択を導くための食環境整備として,従業員食堂の全ての献立表示を3色で示した(3要素順に,黄色・赤色・緑色).食事の代金清算時に,3要素を組み合わせて食事を選択するよう栄養教育を実施した(適切選択者).同時に適切選択者の割合も評価した.介入前後に,半定量食物摂取頻度調査法に準じた質問紙調査を実施した.野菜類の摂取頻度と摂取目安量を質問し,1人1日当たりの推定摂取量の平均値を求めた. 結果: 適切選択者は,介入1年後63.5%から,介入2年後82.1%( p <0.001),介入3年後80.0%( p <0.001)へと有意に増加した.介入3年後では,朝食時( p <0.001),昼食時( p <0.001),夕食時( p =0.011)の野菜,野菜ジュース( p =0.030)の推定摂取量は,有意に増加した.漬物は有意に減少した( p =0.009).これにより野菜類摂取量は,男性では167.3 gから184.6 g,女性では157.9 gから187.7 gに増加したと推定された. 考察: 従業員食堂を中心とした長期間の食環境介入によって(3年間),野菜の推定摂取量の増加,漬物の推定摂取量の減少が認められ,野菜類の摂取量に望ましい効果が示された.