人工林の高齢級化に伴う路網整備の方向性と課題を,適用されるべき伐出システム,地形からの制約,および近年の動向を考慮して検討した。一つの方向性は,中傾斜地までの地形で現在スイングヤーダを用いる伐出システムが適用されている場合に,集材対象木の大径化に対応するため高出力で搬送が高速な欧州型のタワーヤーダを用いる伐出システムに移行するものである。高知県香美地域で実際の事例がみられるが,路網は現状より高規格化する必要がある。もう一つの方向性は急傾斜地までの地形において路網を低規格化することで高密化を可能にし,機械は小型になるが集材距離の短縮化で対応するもので,近畿・四国地区をはじめ各地で事例がみられる。いずれの場合も,伐出が事業として成立するためにはシステムへの投資と得られる伐出生産性のバランスがとれていることが必要である。二つの方向性について検証した結果,タワーヤーダシステムへの移行は経費面で成功しているとみられるものの機械の国産化など本体の低価格化が今後重要であること,小規模機械の高密路網化では手のかかった施業による材の高付加価値化や自伐的経営などが必要であることが示唆された。