アニサキス第III期幼虫が魚類やイカ類とともにヒトに摂取された場合,時としてIgEを介したアレルギー症状を誘発することがある.これまで13種類のアニサキスアレルゲンが同定されているが,複数の未知アレルゲンの存在も示唆されている.本研究では,第III期幼虫から構築した発現型cDNAライブラリーの化学発光抗体スクリーニングを行い,IgE反応性を有する新規クローンを単離した.本クローンは217残基よりなる23.5 kDaのタンパク質(Ani s 14)をコードしており,その領域4~147はAni s 7の領域796~940と31%,領域34~123はAni s 12の領域2~91と32%の配列相同性を示した.26名のアニサキスアレルギー患者のうち14名(54%)が,大腸菌で発現した組換えAni s 14にIgE反応性を示した.Ani s 14はアニサキスアレルギー患者に特異的な新規主要アレルゲンである.