台湾の食品会社である康師傅株式会社は,1992年中国大陸市場に参入した.康師傅は,短期間で,インスタントラーメン市場や飲料市場において,中国国内売上高でトップになった.康師傅の成功要因の一つは,競合他社よりも早く中国市場に参入したこととブランドイメージの確立を得たことにある.一方で康師傅は,中国で,ファストフード業界やスーパーマーケットなどの新たな分野をいち早く開発してきた. 康師傅は,1996年から日本の食品会社などとビジネスパートナー契約を結んでいる.それは,サンヨー食品,アサヒ,伊藤忠,敷島製パン,日本製粉,カルビーなどである.また,康師傅は,中国市場において,ペプシコ社との間でパートナーシップを結び,事業領域の拡大を行った.康師傅は,2014年,中国のインスタントラーメン市場で47%のシェアに達した.すなわち,康師傅は,中国全市場の半分近くを占めていることになる. 市場の低迷や景気停滞にあるとき,収益性は,企業の価値を決定し,他の企業に対して競争優位となる鍵になる.本論文では,ファジィVRIO分析,ファイブフォース分析とSWOT分析によって,康師傅の内部環境や外部環境の要因を分析し,今後,中国市場において競争上の優位性を持続するために必要な戦略について検討する. また本論文では,康師傅の経営戦略の現状を分析するため,外部環境分析にファイブフォース分析,内部環境分析にファジィVRIO 分析を用いる.これら外部環境と内部環境を明らかにした上で,康師傅の強みと弱み,機会と脅威をSWOT分析によって明らかにする.そして,康師傅が今後,中国市場において競争上の優位性を持続するために必要な戦略について言及する.